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IV−(2) パネルディスカッション(第1ラウンド発言要旨)

 

川崎市市民オンブズマン制度の概要

 

杉山 克彦

(前川崎市代表市民オンブズマン)

 

お手元にさしあげている川崎市のオンブズマン制度についてのレジュメを補足しながら、制度の概要をご説明したいと思う。

川崎市がなぜ全国に先駆けてこういう制度を設けたかということについて申し上げれば、先程、司会者の片岡先生からもご紹介があったように、国民の意思を行政に反映させるという制度についての意識・必要性というものが一般に認識されてきたということ、すなわち、いわゆるロッキード事件によって政府や行政に対する不信感が国民の間に一気に広がり、これをチェックする機能が必要だということで、臨調や行革審等においてオンブズマン制度のことも検討されはじめたということから、国民の間に、一般的にオンブズマン制度に対する認識、理解が深まってきたということが背景にあったわけである。その後、川崎市においてリクルート事件が発覚し、市の現職の助役がこれに関わっていたということが判明して、市民としては大きなショックを受けたということがある。相次ぐ市の幹部の不祥事ということで、これは、ぜひそういうものをチェックする必要があろうということで、オンブズマン制度に関するいろいろな講演会やフォーラムが行われるようになって、昭和61年に、市民から川崎市議会に「オンブズマン制度を採用すべきである」という陳情がなされた。

リクルート疑惑と相まって、そういった論議が市民フォーラム等を通じて非常に活発になってきたが、平成元年11月に行われた市長選挙において、その時の市長候補者がオンブズマン制度の採用を選挙公約に掲げて当選された。それが現在の市長である。そこで、その公約を実行するということで直ちにオンブズマン制度研究委員会が組織された。この研究委員会の委員には、篠原一さんを委員長とし、原田尚彦さん、宇都宮深志さんといった行政関係の大学の先生が中心になっていて、その他に法律家あるいは学者、有識者がメンバーになったわけであるが、外国の制度等も参考にして、新オンブズマン制度の案を作って市長に提言をされた。この提言に基づいて市の条例案ができ、平成2年7月の市議会で条例が可決され、その年の11月から実施に移された。

川崎市のオンブズマン制度の本質的なポイントは、非常に複雑化、マンモス化した市の行政が市民にとって分かりにくくなっている、接触しにくくなっているということを打ち破るために、行政に対する市民の疑問なり苦情をすべて同じ一つの窓口で市民から十分聞いて、これを調査し、それについてオンブズマンとしての意見を出し、これを市の当局に実行させるという点にある。苦情についての調査権限を与えるということ、及び調査権の実行については市の職員は協力する義務があるということが条例に明記された。オンブズマンが調査した結果、行政に不当がある、あるいは市長に非違があるというようなことが判明すれば、直ちにその是正の勧告をする、非違の指摘をする、それを

 

 

 

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